病院で亡くなった場合の、逝去から納棺までの流れをまとめました。昔は家で亡くなることがほとんどでしたが、現代では病院で亡くなる方がほとんどです。
入院療養中や不慮の事故で、病院で家族や身近な人が亡くなったとき、遺族はどのようなことをすればよいのでしょうか。
目次
大切な人が病院で亡くなったら
現在、お亡くなりになる方の8割近くが病院で亡くなっています。
病院で死亡が確認されると、医師により死亡の宣告があり、その後死亡診断書が作成されます。その後、病院を出て自宅、または葬儀会館など安置施設まで、故人を搬送し、通夜、葬儀・告別式の準備を行います。
ここまでの流れを大まかにいうと、エンゼルケア(遺体のケア) → 搬送 → 安置 → 納棺といった流れになります。
病院で臨終後、病室で行うこと
病院では臨終の後、医師が死亡診断書を用意し、看護師やスタッフが遺体の処置を行います。
遺族は故人の安置先を決定し、病院から搬送しなければなりません。病院にもよりますが、臨終後にはなるべく早く病院を出るように言われることも多いです。葬儀社がすでに決まっている場合はよいですが、亡くなってから葬儀社を探す場合、ごく限られた時間の中で決定しなければなりません。
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身内への連絡
死期が近づいたら、身内をはじめ最後に会わせたい方々に連絡をします。危篤の状態から何度か持ち直すこともあります。
医師に臨終と判断された場合には、近しい人々に訃報を入れます。葬儀の日取りや場所などが決まっていない段階であっても、亡くなったという事実を伝えます。
末期の水
別名「死に水」とも言われ、その場にいる一人ひとりが亡くなる人を送りだす在来仏教の儀礼です。かつては息を引き取る直前に行っていましたが、ご臨終の直後に行うことが多くなりました。
末期の水には、茶碗、水、新しいガーゼや脱脂綿、割り箸を用意します。茶碗に水を入れ、新しいガーゼや脱脂綿を割り箸に挟み、茶碗の水を含ませて故人の唇を潤します。これを故人との血縁関係の近い方から一人ずつ、その場にいる全員が行います。ガーゼや割り箸の替わりに新しい筆を使ってもかまいません。
宗派によっては末期の水をしないので、その場合は病院のスタッフに伝えます。
エンゼルケア
エンゼルケアとは、遺体に施す身繕いや死化粧のことです。
故人の最期にふさわしい姿にするために体を清めます。闘病の跡や傷口などをカバーしたり、化粧をしたり、生前の姿へと近づけます。故人の尊厳を守ることはもちろん、残された家族の心のケアという意味合いもあります。
かつては病院でのエンゼルケアは看護師などが死後処置の一環として簡単なものを行うだけというイメージでしたが、最近ではエンゼルケアを丁寧に行う病院も増えているようです。勉強会などでエンゼルケアの講習を行うなど、積極的に技術の向上を目指す方もいるようです。
清拭
遺体を清めるため、お湯やアルコールで丁寧に拭きます。その後、口や耳、鼻や肛門などに脱脂綿を詰めます。病院では看護師が行います。
身繕い
清拭が終わったら、遺体を着替えさせます。死装束を着せるのが本来のやり方ですが、故人がお気に入りだった着物や服を着せてあげるのもよいでしょう。
死化粧
髪を整え、髭や産毛を剃ります。長い闘病生活などで、表情がやつれていれば綿などを含ませ、生前の姿に近づけます。女性には死化粧をしますが、これをしない病院もあるので、必要であれば葬儀社に依頼するか、納棺までに遺族が行いましょう。
霊安室にいる間にすべきこと
エンゼルケアなどの処置が終わると、遺体は病院の霊安室に移動し安置されます。霊安室に遺体を安置できる時間は限られているので、この間に遺族はさまざまな手配をします。
遺体の搬送先や葬儀社の手配
昔は自宅へ遺体を連れて帰ることがほとんどでしたが、現在は住宅事情の変化などによりそのまま葬儀場の安置室などへ搬送することも少なくありません。
葬儀社を決めるとその葬儀社の担当者が病院まで迎えに来てくれます。また、安置先が決まっている場合には葬儀社などに搬送のみを依頼し、遺体の安置後に改めて葬儀を依頼する葬儀社を選ぶこともできます。
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病院から遺体を搬送
遺体の搬送は葬儀社、または搬送を専門に行う業者に依頼します。業務として遺体の搬送が行えるのは許可を受けた事業者だけです。搬送に用いられる車は緑ナンバーです。ごくまれにではありますが、許可を受けていない白ナンバーの車で遺体の搬送を行う葬儀社もあります。この場合は法律違反になりますので、注意が必要です。
また、同じ緑ナンバーでも遺体は法律上は貨物という扱いのため、タクシーで搬送することはできません。
一方、故人の身内が自家用車で運ぶことは可能ですが、専門的な知識や技術のない方が遺体を搬送することは、よほどの事情がない限りおすすめはしません。
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病院から遺体を搬送した後にすべきこと
搬送し、遺体の安置ができたら葬儀の内容について決めていきます。病院を出て安置ができれば多少の時間の余裕は生まれます。葬儀社との打ち合わせをしながら、葬儀の準備していきます。
遺体の安置
安置場所に着いたら、遺体を布団に安置します。このとき、頭を北に向け、北枕になるように寝かせます。
また、損傷を防ぐため、安置する際に遺体にドライアイスをあてます。通常、葬儀社の担当者が置いてくれるので、遺族が特にやらなければならないことはありません。季節や安置場所の環境などにもよりますが、腹部に2つ、首の下に1つ、そして左右の腕と胴の間にそれぞれ1つずつ、関節にあたらないように置くのが一般的といわれています。
枕飾り
枕飾りに必要なものは、白木の台、香炉、線香、燭台、花立て、ローソクなどです。花立てにはしきみなどの1輪の花を供えます。さらに、枕飯や枕団子も台の上に供えます。搬送を依頼した葬儀社が飾り付けてくれることがほとんどです。
枕経・枕勤め
枕飾りが整ったら、菩提寺に連絡し、僧侶を呼んで遺体の傍で「枕経」を読んでもらいます。事前に戒名(法名、法号)を授かっていない場合は、戒名を授与してもらいます。場合によっては通夜の前枕勤めを省略し、通夜の読経と併せて行うこともあります。
また、菩提寺がない、葬儀をお願いできる宗教者がいないといったやむを得ない場合には、宗旨・宗派を葬儀社に伝え、相談しましょう。知り合いの寺院などを紹介してもらえることもあります。
葬儀の準備や手続き
葬儀社を決めていない場合、この段階で決定します。また葬儀社が決まっている場合は、菩提寺の都合や火葬場の空き状況を考慮しながら、葬儀の日程と場所などを決定します。
親族・友人・知人への連絡
葬儀の日程と場所が決定したら、親せきなどへ連絡を行います。
まずは親族など身近な方たちへ、それから故人と親しかった友人や仕事関係の人、町内会などの近所の人に伝えます。グループの代表の人に伝えて、他の人へ連絡してもらうようにします。
また、身内だけでのお葬式を希望している場合、葬儀に来てもらいたい方だけに連絡します。参列してもらうべきかどうか迷っている相手には、この段階では連絡はしないという方が多いようです。
湯灌(ゆかん)
故人を風呂に入れ、遺体を清める儀式です。現在は、病院で行う清拭で済ますケースも増えていますが、湯灌をする場合は葬儀社に相談しましょう。
湯灌については、葬儀のオプションというケースが多いようです。
納棺
お通夜の前に遺体を棺に納める儀式を行います。葬儀社のサポートを受けながら遺体を納めたら、故人の愛用品などを副葬品として一緒に納めることができます。すべてを納めたら、合掌し、棺のふたを閉めます。
故人の旅支度をする大切な儀式ですので、身内はできるだけ参加し、心を込めて行いましょう。
逝去から納棺までの流れについてよくある質問
病院でなくなった場合、まず何をすればいいのでしょうか?
病院で死亡が確認されると、医師により死亡の宣告があり、その後死亡診断書が作成されます。
その後、病院を出て自宅、または葬儀会館など安置施設まで、故人を搬送し、通夜、葬儀・告別式の準備を行います。
病院より葬儀社を紹介されたのですが、お断りしてもいいのでしょうか?
病院で紹介された葬儀社をお断りしても問題ありません。
葬儀社を決めるとその葬儀社の担当者が病院まで迎えに来てくれます。
また、安置先が決まっている場合には葬儀社などに搬送のみを依頼し、遺体の安置後に改めて葬儀を依頼する葬儀社を選ぶこともできます。
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